【CSS】grid-template-rowsを使ってアコーディオンを実装する方法
はじめに
このサイトはNext.jsで作っていることもあって、Next.js関連の記事をいくつか書いてきました。
しかし、サイト作成にあたって一番私を苦しめるのは、Next.jsでもReact.jsでもJavaScriptでもなく、他でもならぬCSSです。
今まで書いた記事を振り返ってみると、あろうことかCSS関連の記事が1つもありませんでした。
私が苦戦した箇所は、他の方も同じく苦戦する可能性もあると思うので、今後はCSS関連の記事も少しずつ追加していこうと思います。
ということで今回は、CSSを使ってアコーディオンを作成する方法を紹介していきます。
アコーディオンとは
Webページやモバイルアプリ等で、ボタンのクリックなどの操作と連動して、アイテムの表示や非表示を切り替える部品を「アコーディオン」と呼びます。「アコーディオン・メニュー」と呼ぶこともあるようですね。
表示の際は縦に広がるアニメーションがつき、非表示の際は縮むアニメーションがつくのが一般的かと思います。
言葉より動画でみたほうが分かりやすいかと思います。
アニメーションの有無は別として、様々なWebサイトで実装されていますよね。
Webページのモバイル対応をする際に、ナビゲーション・メニューの一部非表示にして、アイコンのタップと連動して表示する仕組みは、広く導入されているかと思います。このサイトのナビゲーション・メニューもそうですよ!
この記事の内容
今回紹介するのは、CSSのGrid containerのgrid-template-rowsを使ったアコーディオンの実装例となります。JavaScriptも少し使います。
The simple trick to transition from height 0 to auto with CSSの動画を参考にしています。投稿者のKevinさんは、CSSに特化した動画を投稿されています。大体の困りポイントは解説されているため、私も非常に参考にしています。英語ですが、自動翻訳で見ればそんなに気になりません。
JavaScriptを使いたくない場合
他の方式もあります。私自身試せていないので、参考として解説サイトのリンクを貼ります。レスポンシブ対応等で、同じHTMLタグでPCとモバイル表示を切り替えたい場合は工夫が必要かもしれませんが、同じ表示で良いのであればこっちのがシンプルかもしれませんね。
inputタグのchecked属性を使って表示・非表示を切り替える方式
detailsタグとsummaryタグを使う方式
detailsタグという折り畳み専用のタグと、summaryタグを使った方式です。
前提知識
HTML、CSS、JavaScriptの基礎的な知識がある前提で解説しています。
JavaScriptはquerySelectorやaddEventListenerの使い方が分かれば問題ありません。
CSSは上述のとおり、gridコンテナを使います。とはいえ、特有のプロパティはgrid-template-rowsのみ使うので、ここの基礎だけ押さえていればOKです。
grid-template-rowsを使った実装例
開くときと閉じるときのアニメーションもつけて、順を追ってアコーディオンのサンプルを実装していきます。
サンプルの完成版はgithubに載せてあるので、参考にしてください。
ベースとなるHTML
まずは、下の画像のようなページを作ってみます。
最終的には、「FRUITS」のボタンを押すと、下にある「APPLE」~「ORANGE」の果物のメニューが開いたり、閉じたりするようにしていきます。今は、メニューが全て表示されている状態です。
html
headタグ内のlinkタグで、main.css
を指定しています。
後は、メニューの開け閉めのトリガーとなる「FRUITS」は、実際にクリックすることになるのでbuttonタグで実装しています。
index.html
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0">
<link rel="stylesheet" href="main.css">
<title>アコーディオン</title>
</head>
<body>
<h1 class="center">アコーディオン</h1>
<device>
<button class="accordion-label">FRUITS</button>
<div>APPLE</div>
<div>BANANA</div>
<div>KIWI</div>
<div>ORANGE</div>
</div>
</body>
</html>
css
上記のHTMLのlinkタグで指定したCSSです。
main.css
* {
box-sizing: border-box;
}
html,
body {
margin: 0px;
display: flex;
flex-direction: column;
align-items: center;
}
.center {
text-align: center;
}
.accordion-label {
background-color: #555;
color: #f1f1f1;
border: none;
font-weight: bold;
font-size: 1rem;
padding: 7px 15px 7px 15px;
}
全要素をborder-box
にしていたり、「FRUITS」ボタンに装飾をしていたり、bodyタグをflex
コンテナにしていたりします。現時点ではアコーディオンの実装には影響はありませんので、詳細は割愛します。
メニューを非表示にする
次に、メニューとなる「APPLE」~「ORANGE」を下の画像のように非表示にします。
非表示にするアプローチは色々ありますが、今回はgrid-template-rowsを使を使います。
html
headタグは変更がないので省略しています。
index.html
<h1 class="center">アコーディオン</h1>
<div>
<button class="accordion-label">FRUITS</button>
<div class="grid">
<div class="wrapper">
<div>APPLE</div>
<div>BANANA</div>
<div>KIWI</div>
<div>ORANGE</div>
</div>
</div>
</div>
CSS
追加したgridとwrapperクラスのみ載せています。
main.css
.grid {
display: grid;
grid-template-rows: 0fr;
}
.wrapper {
overflow: hidden;
}
解説
まずHTMLですが、「APPLE」~「ORANGE」のメニューに、2つの親要素を追加しています。
外側のdiv(クラス名:grid)は、gridコンテナとしての役割を持ちます。CSSでgrid-template-rows: 0fr
を設定しています。これにより、「gridのアイテムは1行のみで、高さは0fr」となります。
内側のdiv(クラス名:wrapper)は、gridアイテムとなります。親要素(上述の外側のdiv)により、gridのアイテムの行数は1つにする必要があります。複数あるメニューを1つにまとめるために、このdivを追加しています。
このwrapperクラスのdivをなくし、「APPLE」~「ORANGE」を直接gridアイテムにすると、grid-template-rows: 0fr 0fr 0fr 0fr
のように、メニュー数分の設定が必要になってしまいます。メニューの数が不定や可変の場合に対応が難しくなるため、メニュー自体をgridアイテムにするのではなく、メニューを囲む親要素(wrapperクラスのdiv)がgridアイテムになるようにしています。
wrapperクラスの親要素(gridクラスのdiv)は、CSSで高さ0frを設定していますが、子要素(厳密には孫)のメニューに高さがあります。特段CSSで制御しない限り、親要素の高さが0frであっても、メニューは親要素からはみ出て表示されてしまいます。CSSでいうところの、overflowですね。
はみ出た子要素を非表示にするために、CSSでwrapperクラスにoverflow: hidden
を設定しています。
CSSでアニメーションを設定
gridクラスのdiv要素に、アニメーション用のCSSを設定します。
通常の状態だと、grid-template-rowsによって高さが0frになっているため、メニューは見えません。高さが1frになると、メニューは完全に見えるようになります。
CSSのtransitionプロパティを使って、grid-template-rowsの0fr~1frの変化を設定していきます。
CSSに変更を加えます。変更部分のみ載せています。
main.css
.grid {
display: grid;
grid-template-rows: 0fr;
/*
追加:transitionにgrid-template-rowsの設定。
0.3秒かけて、変化を描写。
*/
transition: grid-template-rows 0.3s;
}
.open {
/*
追加: 高さを1fr。
javascriptで動的に付与し、0fr⇔1frに切り替える
*/
grid-template-rows: 1fr;
}
gridクラスに追加したtransition: grid-template-rows 0.3s
により、grid-template-rowsの変化は0.3秒かけて描写されるようになります。
openクラスは、grid-template-rowsの高さを1frにするクラスです。JavaScriptでこのクラスを抜き差しすることで、grid-template-rowsの高さを0fr、1frに切り替えていきます。
しかし、transitionにgrid-template-rowsを追加することが出来るんですね~便利。
JavaScriptでCSSを切り替える
アコーディオンを開くには、上で追加したCSSのopenクラスをgridクラスのdiv要素につける必要があります。逆に閉じる場合は、openクラスを外す必要があります。
ということで、「FRUITS」ボタンのクリックに連動して、openクラス抜き差しするJavaScriptを実装します。
htmlにscriptタグを追加
追加するJavaScriptのscriptタグを追加します。ファイル名はmain.jsにしました。
index.html
<head>
<meta charset="UTF-8">
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0">
<link rel="stylesheet" href="main.css">
<script src="main.js"></script>
<title>アコーディオン</title>
</head>
変更点はscriptタグの追加のみです。Body部分は省略しています。
JavaScript
main.js
function init() {
// アコーディオンの開け閉めのトリガーになるボタン
const btn = document.querySelector(".accordion-label")
// gridコンテナ要素
const container = document.querySelector(".grid")
// アコーディオンの開け閉め状態。false->閉じてる。true->開いている。
let isOpen = false;
// トリガーのボタンをクリックした時の処理
btn.addEventListener("click", () => {
// 開け閉めを反転
isOpen = !isOpen;
// gridコンテナのデフォルトのクラス名
let css = "grid"
// 開いた状態ならば、アニメーション用のopenクラスを追加。
if (isOpen) {
css += " " + "open"
}
// gridコンテナのクラスを設定
container.className = css;
})
}
window.addEventListener("load", init)
isOpen
変数でアコーディオンの開け閉めの状態を管理しています。
「FRUITS」ボタンがクリックされたら、まずisOpen
を反転させます(trueならfalse、falseならtrueを設定)。そしてisOpen
がtrueの場合、さきほど作成したCSSのopenクラスを設定されるように、逆にfalseの場合は設定されないように、動的にクラス名を制御しています。
念のための補足ですが、gridコンテナ(gridクラスのdiv要素)のに適用されるCSSのクラスは、isOpen
に応じて以下の値になります。
- isOpenがtrue: gridクラスとopenクラス
- isOpenがfalse: gridクラスのみ
動作確認
実際に動かしてみます。
ちゃんと開け閉めのアニメーションがついてますね!今回は他に装飾はほとんどしていませんが、gridコンテナの背景色をつけたり文字色を変えたりすると、さらに見栄えもよくなるかと思います。後は、キャレット(こういう矢印みたいなやつ→「>」)のアイコンをボタンの横につけて、開いた状態では「∨」に表示を切り替えたりすると、それっぽくなりそうですね!
grid-template-rowsを使うメリット
「grid-template-rowsではなく、heightプロパティを使えば良いのでは?」と思われた方もいると思います。
確かに、height: 0px
とheight: auto
を切り替えることで、メニューの表示・非表示は対応が可能です。
しかし、height: 0px
からheight: auto
のtransitionを設定しても、残念ながらアニメーションはつきません。直感的には上手くいきそうなものですが、「auto」へのtransitionは効かないのが仕様のようです。
一方、「0⇔100px」のような固定値へのtransitionであればアニメーションはつきます。ただ、事前に高さが計算できる場合にしか使えないので、汎用性は下がってしまいます。
grid-template-rowsを使った場合、事前に高さが分からなくても、0fr⇔1frのtransitionでアニメーションがつくため、この問題を回避できます。
最後に
今回は、grid-template-rowsを使ったアコーディオンの実装例を紹介しました。
CSSは様々なプロパティと、それぞれに設定できる様々な値があり、プログラミングとはまた違った難しさがありますね。
最近はコンテナ・クエリのような新しい機能も導入されたり、tailwindCSSのようなCSSのフレームワークも台頭してきたりしているので、気を抜くと一気に置いて行かれてしまう気がします。
私も今年はCSS力をもっと上げたいので、今後もちょくちょく記事を上げていこうと思っています。
今回はWebページの部品の作り方になりましたが、boxモデルやmargin collapseのような、知らないとハマってしまうような仕様についても今後は触れていきたいです。